2007-12-12

振り向けば。

振り向けば。

size="2">2年次研修医 有馬 喬



横浜で精神科研修中の城戸先生も慣れない所で独り頑張っているらしい。

都会の冷たい風に打ちひしがれ、「ありえんけん、どうなっとると?」

とか言ってるのかと思っていたがそうではないようである。



思えば彼はかなりの根性者である。

怖い怖い指導医に指導を受けても、「本当にこれであっとるとですか?」

・・・素敵である。

怖い怖い看護師さんに指示を確認されても、「あっとるって言っとるめ!」

・・・かなり素敵である。

怖い怖い教育管理部臼井さんに怒られても、「だけん!そんな言ってもどうもならん

けん!分かっとらんめ。」

・・・全くもって素敵である。



しかしそんな根性者の彼も、小児科研修中は今まで見せたこともない姿を見せた。

そこは、新生児室。

生まれたばかりの子供にミルクを与える彼の姿はどこか暖かみがあった。

彼は小児科医になるらしい。

根性のある優しい小児科医、素敵である。

これからの未来を担う子供をたくさん救ってくれるだろう。

あんまり誉めると、また「うぇ~い、ひゃ、ひゃ、ひゃ」とか言い出すのでこの辺

にしておく。



話は変わって・・・。



小児科には感染症の子供がたくさん来る。

時期的にはRSウイルスというウイルスに感染した子供が多いようだ。

症状はガラの悪い風邪。重症化すると気管支炎や肺炎になってしまう。

小児にとってはインフルエンザより悪質と言う先生もいる。

このRSウイルスには、鼻に綿棒を入れてウイルスがいないか調べる簡単な診断キッ

トがある。

無理やり鼻に綿棒突っ込まれる子供の身になってみれば、ホントに「簡単」か!?と

も思うが。

しかし、この検査キット、なぜか入院患者にしか保険が使えない。外来でやると自

費である。外来で早期診断できれば、有益だと思うのだが。

子供は大事にしないといけませんよ、厚生労働省。



感染症で思い出したが、感染症診療においてグラム染色は大事である。実際は行わ

ない病院も少なくないが、当院では田村内科部長の指導により、可能な限り必ず行

っている。余談だが、以前勉強会で、僕の作ったスライドが「グラム妖精球菌には

セファメジンが・・・」と誤植しており、「え?妖精にセファメジン効くの?」とい

きなり突っ込んだのも田村先生であった。



当直明けでぼーっとしてる時など試薬がよく手にかかる。しかもなかなか落ちない





ある日の夕方、肺炎の患者さんが言った。

「先生、手になんか色付いてるよ?」

当時の内科指導医、劉先生は言った。

「これはね、○○さんの肺炎を有馬先生がちゃんと診てるって証拠なんですよ。」

「先生、なかなかいいコトと言うじゃない?」と思った。

明日も頑張ろうかなと思った。



数日後、とある飲み会で。

僕は劉先生に言った。

「先生がこの前、使った台詞を来年の1年目の先生に俺も使わせてもらいますよ。」

劉先生は言った。

「そんなこと言ったっけ?た、たぶん俺じゃないんじゃないか↑?」



・・・。



「あなたです。」



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