2008-01-22

男の勲章

2008年1月22日

男の勲章

2年次研修医 有馬 喬


先日、川南病院の開院祝賀会に参加させて頂いた。

川南とは宮崎県の太平洋側の真ん中辺りにある町である。

人口は約17000人、一時期18000人くらいいた気もするが。

畜産を中心に農業の盛んな町である。

比較的歴史の浅い町で日本三大開拓地(他、青森県十和田市、福島県矢吹町)のひと

つと言われ、開拓者の多くは県外の出身、「川南合衆国」と呼ばれることもある。

"The United States of Kawaminami"である。(…なんか格好いい!)

かつて、大日本帝国陸軍の落下傘部隊の訓練地であった。

また、この時、部隊が使用した給水塔がたまにテレビに映る。

この町には「トロントロン」というへんてこりんな地名がある。

カタカナである。

昔は葉書に「トロントロン」と書いたら少なくとも、川南町郵便局までは届いてい

たとの噂があった。

小学生の頃、有馬少年は「トロントロンの由来」を調べて社会の授業かなんかで発

表したことがある。

その由来には有力といわれるのが2つある。

①西郷隆盛が西南戦争からの帰り道、この地域を通った時、ぬかるんだ地面を「ト

ロントロンしてる」と表現したことからきている説。

②湧き水があって、小川となって流れるときに水の音が「タランタラン?ドロンド

ロン?(トロントロン)」と聞こえたという説。

どっちもにわかに嘘くさいがまあ、よしとしよう。

いずれにせよ、幼少期の有馬少年が育った町ということだけ記憶していただければ

結構である。


さて、開院祝賀会には他病院の院長先生も数人参加されていた。

当院からは看護部長さんと事務長さん、事務次長さんが参加されていた。

祝賀会の最後の方に参加された各病院の院長紹介があった。

地元であるということで自分も前に出なさい、との事だった。

3人の院長先生達と、なぜか自分。

「あの若造はどこの院長だ??」的な目線が痛かった。

研修医の頃の木村先生だったら、こんなことはなかったかも知れないと思いつつ挨

拶の順番を待った。


理事長の弟である徳田孝徳先生に紹介して頂いた。

「20年後の川南病院院長の有馬喬先生です!」

「・・・。いや、それはちょっと~。」

なんて思ってると、数人の話し声が上がる。

「たかし君ね??」

「あら!ホントじゃが。」

「ま~。有馬さんとこの。」

「へ~」。


・・・。

「しまった。ここは地元だった。」

自分の知り合いも、親の知り合いもたくさんいる。

まさかとは思ったが、こんなところで会うとは。

しかし、有馬少年の幼少期の呼び名である「たあくん」と呼ばれなくて本当に良か

った。


3人の院長先生方の立派な話の後で、しかも知り合いがいたとあっては、「男☆有

馬!」一発決めねばと思い、ちょっと大きな事でも言ってやろうと思い以下の挨拶を

させて頂いた。




「若輩者の自分は、若輩者ゆえの分をわきまえない発言も時にします。

しかし、その発言も日本の医療をよくしようという熱い思いから出る発言です。

今日は大変失礼ではございますが、2つの分をわきまえない敢えて発言をさせて頂き

ます。

ひとつめ、私の研修させていただいている病院は大隅鹿屋病院といいます。

本日お祝いの花も届けさせていただきました。

しかし、漢字が間違っております、「大隈鹿屋」となっております。

どこの業者さんですかね?

ふたつめ、先ほど院長先生方が救急車のたらい回しについて触れらました。

自分はまだ卒業して間もないですが、あと何年かしたら「救急車は黙って全員俺の

ところに連れて来い!」と言えるような医師になります。

川南病院とはいい関係を持ちつつ、「この地域の救急車は全車任せとけ」的病院に

したいと思います。よろしくお願いします。」


ちょっとお調子に乗りすぎたか、既に院長にでもなったかのような発言をしてしま

った。

若干やりすぎたかもしれない。

「まあいいか。たまには。」と思った。


壇から降りる時、徳田秀子副理事長からこう言われた。


「先ほどの挨拶、ビデオにとってありますので、理事長に見て頂きますね。期待し

てますよ。」

硬い握手を交わしてしまった。




「・・・。ビデオに撮ってるって聞いてねーよ↓↓」




このままだと、単なるホラ吹きになってしまうので、2月からまた大隅鹿屋で頑張ろ

うと思いながら岐路に着いた。


おしまい。



3 件のコメント:

  1. 木村 圭一2008年1月23日 1:37

    すばらしい挨拶、是非見たいです。当院でも上映して下さい!
    それから、おっしゃるように先生と同じ年齢の私だったら、誰も怪しまなかったでしょうね(^.^)。私が一番年上に見えたかもしれません。

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  2. 木村 圭一2008年1月23日 1:39

    つっぱることが男の〜
    たった一つの勲章だって
    この胸に信じて生きてきた〜
    って歌知ってますか?私の記憶が確かなら、嶋大輔さんの歌です。

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  3. 嶋大輔さんは、その昔、「鳥獣戦隊ライブマン」という戦隊モノの「レッドファルコン/天宮 勇介」という役で出演していました。

    返信削除

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